5/8 【伊豆長八の漆喰鏝絵】東品川の寄木神社

濱マツコ

2010年05月13日 19:32





前回のつづき。


北品川に泊まった朝、今度は東品川へ向かいました。
目的は、寄木神社にある品川区の指定文化財、入江長八の漆喰鏝絵を観る為です。
社務所の気さくなお母さんが、本殿迄案内して下さいました。

寄木神社の本殿は、土蔵造りになっていて、その扉に細工されているのが長八の漆喰鏝絵です。

日本神話の『天孫降臨』をモチーフに、向かって右側の扉には猿田彦命、左側の扉には瓊々杵尊と天鈿女命が描かれていて、中央の祭神奥にて天照大神が閉じこもっている様に見せているのが面白いです(実際の寄木神社の御祭神は、日本武尊と弟橘姫命)。

天鈿女命の顔を見ると、見事なお多福顔。
これを見て、長八の研究本『伊豆長八の世界』の中で、荒俣宏先生が寄稿した一節を思い出しました。

「醜いものは魔除けとなり、厄除けになる。
長八は頼まれて蔵普請をすると、必ずお多福と天鈿女命を作った」

まさに、長八のこだわりが追求され、厄も逃れた見事な作品です。

時が止まった様な静かな空間の中で、鏝のみで作られた漆喰の芸術、髪の毛や腕の筋、服の皺からじっくりと眺めました。

5年前の旅打ちブログに「いつか東京に残っている長八作品も観てみたい」と書いていたのが、今回実現出来て良かったです。

北品川から東品川、古き良き町並みを眺めながらのお散歩、楽しみました。
美味しそうなラーメン屋さんを見つけたり、北品川の駄菓子屋で購入した旧東海道マップが好奇心をくすぐられる良い出来だったりで、この近辺はまた探索したいなと思います。


北品川から平和島競艇迄行けるかも…などと地図を眺めては、再び旅への思いが馳せる5月の夜です。


2010/05/13 19:32
(ラフブロ『ろくでもない思いつき』より転載)

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